哲学から演歌まで  

fmcfmc.exblog.jp
ブログトップ
2014年 09月 06日

はじめての「詩」・習作


  憂鬱


  無題 1

 人のこころは捉えられるものではない
 自分の心の様も捉えがたきものなのに
 幸せが秋空の晴れ間のように現れては消えてゆく
 なにを幸せというのか

 風邪の熱に浮かされて
 枕元に魴鮄が打ち上げられる
 ウミノピリン フェナセチンが大脳中枢を鈍らせる

 魴鮄が赤紫色の鰭を動かし寝床に侵入する



  無題 2

 悲しみという風が吹いてきて
 M子という小さなヨットの帆をはった
 タンポポの咲く春の此岸から
 ツンドラの冬の孤島へとヨットは走る

 行く先はどこでもいい
 ただ遠いところに流されればいのと
 M子はいう



  メランコリー

 梅雨の前の梅雨
 雨樋を伝う雨の音
 五月の末にしては暑くない宵

 雨の音は春が終わる音
 夏のはじまりの音

 今夜は思い出したようにしか鳴かぬ泥蛙



  白い太った猫

 老いた雌猫
 犬の鎖に繋がれている猫
 その猫の鎖を黒革の手袋が引く
 しとやかな中年の貴婦人
 猫の耳は傷だらけ
 鮮血がしたたっている
 気力のない猫の目

  

  乳白色のガス

 比叡山は濃霧
 一面が乳白色の海だ
 霧がどんどん俺を宙に浮かせる
 
 意識も
 理性も
 合理性も

 そしてあらゆるものを諸行無常の霧に包む

 大地に踏まえようとする己の観念を
 輪郭のない気体が足を払う

 霧は今の俺にとっては敵だ
 霧の世界なんぞに
 ロマンなんぞありえない
 嘘だ
 偽物だ

 霧のなかに佇んでいる自分を思うと
 高調で焼かれたモノクロ写真が恋しくなる



  独身最後の年・29歳。長すぎた「五月病から抜けきれない」時期。
[PR]

by kuritaro5431 | 2014-09-06 11:44


<< ポーランド・リアリズム「イーダ」      自慢の「自分史」を書きたい男の本能 >>