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2012年 07月 05日

権力への欲望がオーバーシュートするとき

 この一週間の政局と電力村の騒動に呼応したマスコミの動向を眺めていると「20世紀の残骸を引きづった過去の覇者たちがもがき失速してゆく姿」をドキュウメンタリー映像でみているよであった。
 
「怒ることは愚か」「社会・組織の連帯こそ正義」「絆こそ日本人の心」「心・心・心」と、民衆感情が、3.11以降、情緒的共感に傾いたと勘ぐり、その国民感情に虫眼鏡をあて「情」筒一杯拡大のプロパガンダ。「安全神話」から「安全を第一優先」「信頼される政府の復活」と、マスコミと御用学者で……
 今までの実績で信じる国民はいない。
 今回の東電・関西電力の株主総会の応答態度。今回の福島第一原発の事故報告をしたといい張る東電と、波江町とのやりとり、その横柄さと傲慢さ。大飯原発の真下に存在していた断層の指摘に対しても、不誠実きわまりない返答。資料を失ったと。
 検察の体制批判勢力潰しのリークにしても、捏造から、持ちネタリークのタイミング操作まで巧妙な連携プレーであったことはみな知った。その日その日、体制リスクの強い情報は、陰の大物の指図によって握り潰され、テレビニュースの話題は、低俗でインパクトのある話題にする変えられる。

 東大キャリア官僚も入省のころは高い志をもってはいるが「人間はもともと支配する側と支配される側に運命的に仕分けられていて、愚民は優秀な日本人の5%にあたる官僚に支配されることで幸せを守ってもらうもの」と感化され省益最優先の縦割り社会に組み込まれる。それに反発する官僚は村八分となる。

 明治政府設立のときからあった民権運動は歴史から抹殺され、前述の官僚による統治精神が脈々と存在している。官僚の中の官僚としての大蔵省→財務省が中核となって、時の総理・経産省までも支配してきた。今回の原発再稼働問題と、民自公3党合意の「一体改革関連法案」における政治家たちはすべて、熟練を積んだ官僚の脚本と演出に操られる役者であるといった人もいる。

 このように長年築かれた愚民統治のノウハウは高度化し、戦後のアメリカ占領下以降においても、地下水脈で磨きつづけられていた。そのレトリックは、軍閥、財閥の力をそがれた日本においても、安全保障条約の傘の下で熟度を増し、官僚主導の国家を作り上げた。その力とは、官僚主導に邪魔立てするさまざまな勢力に対しての目くらましのレトリックであり、日本的シンクタンクの「知」であったのだろう。ある人は「霞ヶ関文学」なる文章(法律・法令・省令などの公文)技法を確立させたことにあったともいえる、といっている。。東大卒業し当時の大蔵省に入省した三島由紀夫が、大蔵省の文章はすごいと、自著『文章読本』に書いていたのを読んだ記憶がある。

 やがて官僚制度を脅かす存在として話題になったのが、クロスオーナーシップ(新聞社が放送業に資本参加し、多数のメディアに影響を及ぼす)機運の台頭であった。震源地はアメリカであったが、日本の官僚と手を組んだ自民党の大物と、メディアの陰の支配者により日本では完全阻止されてきた。
 そのあたりから民主的政治に欠かせない情報公開、国民の知る権利、政治経済においても消費者、生活者、投資家に正しい情報の公開の必要性が叫ばれるようになり、偽りの情報開示や故意の情報操作は、刑罰の対象とさえなるようになった。

 そのころから体制(官僚・自民党政権、自民党の支持母体)に不利な情報は隠す。隠されて損をする族からのインターネット情報による暴露。隠す方も、暴露する方も虚実ない交ぜのデイベート合戦が激しさを増し、果ては相手を陥しいれる捏造までやられるようになる。個人情報保護法も、政界の大物の個人情報保護が目的とささやく者まで出てきた。


 ここまで書いたときだった。
 国会事故調の最終報告書が衆参両議長に提出されているニュースが流れているよ、との妻の声に私はテレビのあるリビングに降りた。
 私はきっと先の3つの事故調と似たり寄ったりの報告書にならざるを得まいと半ば諦めていた。が「今回の事故は『〈自然災害〉ではなく、明らかに〈人災〉である」といい切ってくれた委員会の言葉に驚きに似た感動を覚えた。先の波江町の人たち、福島県民をはじめ東北の復興を祈り・願う民衆はその瞬間どんな思いでいたか私は連想した。原発廃止も地獄、再稼働も地獄、のなかで……
 そして手当たり次第「国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」の最終報告内容と、委員会活動のプロセスを追った。

●東電と、経産省原子力安全・保安院など規制当局の「不作為」による安全対策の先送りが深刻な事態を招いた。
●津波が原因と主張する東電の見解に対して、津波だけでなく地震の揺れで原発が損傷した可能性あり。
●原発に関する情報や専門性で優位な東電が規制当局を取り込み、監視・監督機能を崩壊させた。「規制の虜」になった。規制当局と東電のなれあい。
●事前対策を立てず被害の拡大を許したのが「根源的原因」。
●組織防衛を優先する官と、東電のエリートの論理が、福島の惨事の根底にある。
●菅元総理の指揮命令系統が震災直後の混乱を拡大した。

 これらのプロセスのなかには、あまりにも電力村の権益擁護と、リスクの転嫁の過剰なまでの我欲があからさまに見えたことは確かであった。
 総じて、対象としては東電への批判と、菅元総理への批判の2者に絞られ「規制の虜」を企てた張本人までには及ばなかった。なぜその人を公表しないのかと追求した記者もいたが、当委員会の主旨ではないと委員長は答えていた。また原発の再稼働に賛成か反対かの問にも同様な応答をしていた。

◯ 報告書では、委員会からの提案として「7提言」がされている。
  長いのでここでは割愛する。あちこちで公表されている。
◯ 黒川委員長は、3分冊の報告書を英文に訳し、世界各国に配布すると宣言している。
◯ 東電は、しっかり読んだ上でといいながら、徹底抗戦の構えを見せている。
◯ (私のパソコンだけかも知れないが)すでに「事故調の公式ホームページ」は表示されなくなっている。他の関連のものも……
◯ 大飯原発再稼働の後、この報告書が提示されたのも意味があってのことと思われた。
 

 われわれ民衆にとっての政治とは、もう政党選択ではなく、政治家選択しかない。次の選挙までにだれに投票するかしっかり見定めたい。そのためにこれと思う政治家にタグをつけ、観察しつづける。3.11以降今日までに、今までと違う政治家選択をしてきたが、次の選挙は重要だ。冷静な判断で一票を投じよう。 

by kuritaro5431 | 2012-07-05 13:02


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