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2012年 06月 24日

ノマドの可能性と課題

 2012年6月20日のBSプライムニュースで「所属しない働き方、インターネットで稼ぐ」の番組を見た。

 前回もこのブログでノマドを取り上げた。まだ市民権を得られていないノマドではあるが、一部の若者が現代をまともに受け入れられず、自らこれからの生き方、働き方を模索し、試行している姿を注意深く見守っている。

 前回ではノマドのもつ時代的可能性をもちながら、自らその可能性を狭めていないかと次の3つの点に絞って挙げてみた。

1,彼らは経験していないが、バブル景気崩壊前の日本的働き方にあった組織社会(会社)で上の世代が学んだことのなかに、ノマドでも有効と思えるものがあるのに、感覚的に拒絶しているのではないか。
2,稼ぐことに積極的な族を、たとえ建設的であり発展的であっても十把一絡げに否定的に眺める傾向が、自らの可能性を狭めていないか。銭は家族も含め生命の維持発展に不可欠の「糧ではないかか……
3,働き方のイメージとして全体的には社会的貢献、他者への役立ち概念が弱かったり小振りであったりする印象はいなめないが…… 私の接した若者のなかには「役立ち」という考えそのものが卑しい目的ととらえていた人もいた。

 今回は前回とは別の側面から、ノマドの可能性と課題を考えて見ることにした。
 一応、現在いわれているノマドの成立要件を次のようにとらえられていると認識しておきたい。

1,組織的拘束に影響されない働き方として、時間的にも、職種的にも自分の身の丈に合わせて働く。
2,過去いわれたフリーターとかフリーランスとの違いは、IT(特にクラウドサービスなど)使いこなして稼ぐ。
 (注)フリーランスは、働くジャンルとか能力によって何倍もの報酬差があるが、ノドマでは今のところ最高学歴でありながら低所得者が多い。
3,単なるITワーカーではなく、自分のコンテンツをもち、ITという手段(低コストで多数の人と交信できる)によって、人との縁を自然発生的に創ってゆき働く。
4,シエアという概念をうまく取り込もうしている。1日にせよ、年間にせよ、収入を稼ぐために働く時間と、ボランティアなどの無料労働も計画的にシエアして働く。
 住まいとか、事務所などにおいても仲間と共同利用(シエアハウス)する。
 ビジネスにおいても、かかるコストおよび利益も、仲間とか、提携者とかでシェアする。
 反面、仕事と私生活を分けない面もある。 
5.人とのつながりとか縁をITネットワークで築き、新しいコミニティ社会を目指す。
 おやじ世代の余生の社会の人とのつながりのなさが反面教師。

 今しかだ、NHKの「体感グレートネーチャー」番組で、「アフガニスタン白亜の大地」のドキューメンタリー映像を見ていると、国境を越えた地質学者たちが、さしてだれの役にも立ちそうにない大昔の地質の謎の探検に命がけで挑んでいる。その映像が茶の間の私たちに、感動を送ってくれた。これら前回のブログに書いたアカデミズムの尊さを説く考えかと思え、その見解もありうるとうなずいた。



 今までの仕事に疲れ果て、この春タクシー運転手に転職したという元ITワーカーの運転するタクシーに乗った。ぶらさがっていた自己紹介カードに「趣味パソコン」と書いてあった。質問してみると、元は大型コンピューターのアプリケーションプログラマーで、その後中型オフコンのプログラマー、さらにその後IT時代となり、クラウドサービスなど使っての企業向けサービスを行う会社に転職。大型・オフコン中型・バソコンITを経験してきたものだから重宝がられ、不況時でも仕事がなかったことはなかった。
 ところがその後は通信との融合によるパコンネットワーク型のビジネスが台頭し、さらにここにきてタブレット端末の多様、多機能、大容量、高速の新機種の登場などでものすごいスピードで忙しくなった。私は多忙を極めるはめになった。この2年日曜日も、正月も大型連休もほとんど休めず、仲間の多くも身体をこわしこの仕事から去っていったと。

 また私が通っている整骨院のストレッチ型リハビリ士24歳も、話しているうちに、2年前まで大阪のとあるITワーカーを大勢抱えていた会社に勤めていたが、休みが取れず、身体がもたないので転職してきていたことがわかった。私からすればもったいない話と思う。今まではパソコンを購入した店のサービスセンターのサービスマンからのサービスを受けていた私だが、それは主に購入した機種の操作に関するソフトまでで、それ以上は期待できなかった。
 それに比べその人と話していると、私の期待するスキルを持っていた。なのになぜその職種のニーズがありながら成立しないのか。ノマド族は自分でやれる。だからノマドなのだが。
 ところが、私のようにノマドではない高齢者族もいる。私の友人も結構インターネットをやっている。家内の仲間もみなインターネットと携帯をもって、活発に動き回っている。男性より女性の方がはやくSNSやクラウドサービスへのニーズが高まりそうだ。だが若者のように、ダウンロードした情報やマニュアルだけでは使いこなせない。それに対応する体制が欲しいと思っている人が増えている。そこにビジネス・チャンスが生まれる。今、かどきなのだ。先に挙げた私の世話になっているサービスマンは、今は自営でやっている。
 提供して欲しいサービスと、提供できるスキルとにミスマッチが起きているのか、それともまだ需要がそこまで膨らんでいないのか。それともスキルに対する労働価値とか、供給サイドのサービス提供のシステムに問題があるのか。例えば、ITワーカーを抱える会社が利益を取り過ぎるとか。ITワーカー自体によるユーザーとの直取引ルート形成の動きがないとか。いろいろ考えられる。私のような人間からすれば、ほどほどの料金で、副業でもいいからそんな社会的機能が形成されることを望んでいる。これもある種のシェア・ビジネスのひとつになるかも知れない。



 また別の視点から話をすると、私が現役時代にいた経営コンサルタント業界のファームの求人情報とか、コンサルタントに求められる能力とか、スキルの動向がどう変わってきたか関心をもっていた。その情報の1つとしてコンサルタント求人専門のメールマガジンの配信を受けている。
 そのメールマジンには、確かにIT業界経験者の募集が多かったが決してITワーカーを対象としたものではなかった。
 先日の当メールマガジンでは、アメリカ・シカゴに本社のある世界的経営コンサルティング企業の日本支社の求人があった。

 募集対象として
・事業会社内でITに関連した企画・ブロジェクト・事業立ち上げなどを経験した人。
・コンサルティングファームで、IT関連の経営戦略、組織改革、オヘレーション改革など手がけた方。

 求められるスキル
・コンサルタントとしての適正が高い方。
 (ロジカルシンキング、コミュニケーション能力、プレゼン能力、クライアントマネジメント、チームマネジメント)
・成長意欲が強く、企業のITに関する経営課題(戦略、実行、組織)や変革に対して強い興味、 関心をお持ちの方。

 このメールマガジンから推察する限り、IT関連のスキルは別として、1985年に経営コンサルタントファームに私が転職したとき求められたスキルはほとんど変わっていなかった。アメリカの会社だからそうなのか。大手企業を対象とするこの会社は、今も企業ニーズは変わっていないと確信しているらしく、奇妙に思えた。


 ここで今日の本題としての「ノマドの可能性と課題」

1.可能性
 ノマド的は働き方全体を含め、5年後に就労人口の10%ぐらいかと推定する。その理由として、本人がまず自分の働き領域のフラットホ ームをプロとして確立し、その上でITのクラウドサービスなどが自分でも使いこなせること、となると難易度は結構高い。だれでもできるとは限らない。その割に見込める年収が低い。
 縁の広がりによる新しいコミニティの創出という考えには賛同を受けるだろう。
2.課題
 ・いずれにせよもっと強い能動性が求められるのではなかろうか。稼ぐ欲もよい意味でのモチベーションを高める働きをするはず。
 ・身の丈にあった社会貢献といのも理解できるが、リスクを恐れず、もう少し大きな志をもった社会貢献も視野に入れてはどうか。
 ・金銭感覚とは、人が一生生きてゆくためには必要な経費がまずかかる、その上で各人の価値観によって豊かさへの投資・消費を考えると年収300万円ベースでは足りないと思わる。
 ・働く世代として、納税、社会保険負担、なども支払っていかねばならないし。




 その他(追記)

 私が現役のころいた経営コンサルタント業界の各社のホームページを見ると、3.11を通過した今日なのに、昔と変わらぬ経営改善アプローチを売り物にしている会社がほとんどであったこともこれまた事実。奇妙である。

 最後に、ノマド族と関係が深い前掲のITワーカーたちの今後と、この職種の可能性と「私の感じる懸念」についてちょっと話しておきたいと思います。

 私のビジネス用のweb〈福島マネジメントコンサルタント〉をご覧いただいた方もおありでしょうが、そこでも触れていますように一時期私は「経営コンサルタント養成塾」をやっていました。
 その熟の受講生で一番多かったのが〈中小企業診断士〉2番目に多かったのが〈オフコン系のSE〉でした。他には税理士、ファーム経験のない個人コンサルなどでした。
 そこで感じたSEという職種にクライアントがもっていた固定観念と、経営コンサルタントという職種にクライアントが持っていた固定観念には当然ながら違いがありした。SEはクライアントの要望のシステムを作る請負職。コンサルタントは経営改善指導職。というのが常識的な見方でした。とはいえコンサルタントのなかでも事務作業請負人(アウトソーシングの受け皿)のような人もいましたが。
 そこで当時ソフトハウス系・システムベンダー系の会社が高齢化して行くSE職をコンサルタンとに仕立てたいとの思惑もあり、会社の費用で私の塾に結構きていました。自前で〈システム診断SE職〉などと名付けて、システム開発受注の露払い役を演じさせようと動いていた所もありました。
 そんな動きにクライアント側は、SE職(経験者を含め)に経営アドバイスは求めない。クライアントの希望するシステムを作ってくれればいいとの反応でした。ところがSEのなかでもシステムアプローチから経営アドバイスはできるとの考え方を持っていたソフトハウスの経営者もあり、経営コンサルタント並のコンサルタント・フィをもらえばいい(当時私がJコンサルファームで1日フィ30万円)との流れが一時ありました。そんな流れのなかで建築設計事務所の設計士をコンサルというようにソフトハウスでも、従来のSE職とは別立ての組織や会社にして経営指導のできるSEの養成をとの潮流がありました。
 ところがその流れは成功せず、一時流行った大企業向けERP導入前の業務標準化コンサルイングおもびカスタマナイズのコンサルティングに向かったようです。日本での最大手のERPの教育部長が、私のwebを見て、ERP導入前のコンサルティング・マニュアルが作れないかとの相談で面談しました。いうならば、業務統合の経営資源活用の大型パッケージ・ソフトで、いくら世界の優良会社のビジネスモデルだしとても、それを日本の企業が導入するとは思えなかった。企業には個別のさまざまな実態がその会社の収益構造を形成していることでもあり、導入側として到底受け入れられるものではなかろうと私は思い、「それはマニュアルなどで対処するものではないでしょう」といい断った経緯がありました。
 その後ERPは、中小企業向けの業務ソフトとして個別業務のパッケージソフトまでERPと呼ばれているようです。

 そんな流れのなかにITワーカーが存在していると思います。前掲のSE職とは全然違うパソコンで通信を使っての技術職種と私は考えます。このまま放っておいたら、折角の社会的人材を失うことになります。ノマド族は自分やるでしょう。むしろこの職種の活躍の場は、NPOなど小規模集団とか、地域のコミニティ活動家などとのマッチングだろうと思います。規模は小さくても、ITソフト伝道師(ユーザー保有のコンテンツをICTを使っていかに実現するかのアドバイザー)として自由な個別契約形態として共同体的ビジネスに発展すればと願うものです。
「教えてやるから高いぞ」などと高慢でなく、サービス業として協働する姿勢が欲しいです。経営コンサルタントも、天職などと思うのではなく、協働支援のサービスマンたるべきです。
 大規模事業者とは別の道で生計を立て、新しい業態が育てられると思います。

by kuritaro5431 | 2012-06-24 07:52


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