哲学から演歌まで  

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2015年 08月 22日

日本語の[表]と[裏]----心には裏がある

 この記事は、2015年9月号の『文藝春秋』486頁に掲載された国語学者金田一秀穂氏(父春彦・祖父・京助=名だたる日本語の言語学者)と、きたやまおさむ氏(1946年生まれ・京都府立医科大学卒業後ロンドンの病院で精神分析学を習い帰国後臨床精神科医として活躍・他方フォーク歌手であり作詞家・大学中ザ・フォークルセーダーズ結成、代表曲に『戦争を知らない子供たち』『あの素晴らしい愛をもう一度など』)の対談を読み、82歳の私がとても触発された。
 それで、この対談でも語られたリテラシーを私なりに試みようとした。それは対談に出てきたいくつもの対立矛盾する、あるいは整合のしようのない語彙・単語の数々を、真っ正直に受け取らず、対極概念も気楽に乗り越えて、私なりに理解し、改めて私流(我流)の再構成・思考の再編集を試みた。

 フロイトの臨床哲学という話が飛び込んだ。対談の話とは関係なく、そう古くない「哲学カフェ」のことが蘇った。元阪大総長(平成19年)、23年大谷大学教授、2015.4京都市立芸術大学理事長・学長の鷲田清一先生----「臨床哲学」を提唱された方。私は鷲田先生の話を聞いたことはないが、阪大時代の門下生が流れをつぎ、「哲学カフェ」の活動を大阪、京都、その後東京、岡山、東北と広がっていた。3.4回京都、大阪の会に参加した。そこでは、フロイトを心理学者としてより哲学者として扱う阪大の準教授たちが進行役をやっていた。
 ここでの臨床とは、字のごとく患者に寄り添う現場のように、難しい哲学論議ではなく、パーソナルな個としての患者(クライエント)に接する臨床心理士のように、と云うことだっだ。
 その頃、私はフロイトの心の構造と、唯識の心の構造がよく似ているとの噂に興味をもち、唯識の深層[阿頼耶識=あらやしき]がおもしろいと思い少し突っ込んでいた。すると関連に「唯識論理療法」という一種の心理療法があった。あれこれ調べていると、臨床心理士の療法と同じカテゴリーと思えた。
 その頃、西欧的アイデンティティ論がマインドサイエンスとして叫ばれ、精神分析学、臨床精神医学として位置づけられていたようだった。現在の政府からすると、医学系は厚生労働省、心理学系は文科省となる。そんなわけで、ユング系の河合隼雄先生は、文科庁長官をされた時期もあった。
 その後、学童のいじめ問題が、社会問題化し、SC(スクールカウンセラー)の役割が重要視され、SCの増員(早成)を文科大臣は挙げたが、臨床心理士資格と、クライエントと一対一の対話のできる人間の力量には多くの矛盾を孕んでいた。その頃河合隼雄先生は、日本的アイデンティティを提唱され、「嫌いな相手とも上手に付き合い、ようは自分の望む自己欲求を完遂する、世渡り上手の大人になること」それが、当時話題の「アイデンティティの確立」ということといわれたもの。

 きたやま氏は、臨床哲学的アプローチは、古いタイプの精神分析だといっている。かつての精神医学は、人間の存在に関わる精神病と対峙するので、医者にも哲学が求められた。かつ体系的治療法など確立していなかったから、とにかく「よく患者の話をよく聞く」に尽きるとされた。臨床心理士から私もよく講演などでよく聞いた話だった。きたやま氏はつづいて、精神病患者の症状を取り除くだけなら、薬物の方が効果的であると実証されているという。私も一般の疾病と同じように精神病を考え、薬物投与で治るものは,その方が合理的と思える。だが、患者の家族がそう考えられないのは、精神病は遺伝するものとの呪縛から今なお開放されないからでもあろう。
 西欧医学では、患者の話を聞くよりも、検査や説明の書類作成し、インフォームド・コンセントをしっかりやることが重視されてきた20年もの経緯がある、ときたやま氏はいう。その結果、そんなところに時間をとられる医師は増えているといい、患者の話を聞くどころか、医師が喋ってばかりいるという。聞き上手の医師よりも、説明に長けた医師がもてはやされ、患者は胸の内を吐露する機会がすっかり減ったと。
 ここにも古いタイプ、新しいタイプ、どちらのアプローチにも満足できない日本人の心があるのかも知れない。日本人というよりインドや多民族国家時代からの中国も、東洋医学という心体全体アプローチ型に馴染んだ側面もあった。近代においての日本においては、漢方を含む東洋医学は、西洋医学の補填として扱われてきた。
 日本の病院におけるインフォームド・コンセントについてであるが、私も80歳を過ぎてから病院通いも増え、諸々のアンケート類についても、70歳以上とあり、80歳は年齢の区切りから外れている。人間の苦「生、老、病、死」の意味が分かる歳になった。インフォームド・コンセントの意味も改めて確認してみると、精神病に限らず、一般の疾病についての検査、などにおいても、患者の話を聞くより、説明に長けた勤務医が病院経営者には優遇される傾向があると観察できる。
 インフォームド・コンセントの概念は、アメリカ生まれの概念で「正しい情報を得た(伝えられた)上での合意」と定義付けられている。特に医療行為(投薬・検査・手術など)や、治験などの対象者(患者や被験者)が治療や臨床試験・治験の内容説明を十分受けてとある。

  





















                      ─────────執筆中───────────
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by kuritaro5431 | 2015-08-22 07:05


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