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2012年 09月 22日

世界のなかの日本───尖閣問題

 [④のカテゴリー]

 
 この一週間、またまた政治のことから離れようもない日本国民。
 
 尖閣諸島の国有化に強烈に反応した中国のデモと暴動。まさに世界における日本の政治力があからさまにされた一週間であった。

 青島の日本の百貨店が、暴徒化したデモ体によって破壊され、商品は略奪された。デモ体のプラカードには、
「日本を原爆で潰せ! そして昔のように中国の省に組み込んでやれ‼」 
 これはひどい。

 私はあの日から燃える私憤・公憤を押さえて今日まで待った。そしてやっとこのブログを書く気になってはいるが、今日もその流れはかなり変化しながら過ぎている。いつどこでどのように納まるのか。

 今、世界のリーダーたちが一斉に交代期を迎えている節目の時。各国は力量一杯の外交術を使って世界における自国のパワーバランスを高めようとしている。これから替わる中国・韓国・アメリカ・それに日本? すでに替わっているロシア・北朝鮮。ユーロ圏においても───
 そしてグローバル経済・金融に暗雲。政治はナショナリズムのオクターブ高揚。
 経済・政治とも各国それぞれの事情と難問を抱えての外交攻勢。

 そんななか、野田総理は9月8.9日に行われた「ウラジオストクAPEC首脳会議」中に、立ち話であっとはいえ、中国の胡錦濤国家主席が「尖閣諸島の日本の国有化は、絶対容認できない」との旨話していたにもかかわらず、国有化することを決めた。
 中国では、胡錦濤発言の翌日、温家宝首相も同様に「~許せるものではない」との発言をしていた。

 中国の反日暴動の発端は、中国両首脳のメンツを潰したことにあるのだが、その背後にある中国の多層多重の政治・経済・民族感情などへの野田総理の鈍感さが起因していることは事実。
 この時期に? とその鈍感さに日本国民の一人として情けないと思う。
 にもかかわらず、民主党内の選挙とはいえ、昨日野田現総理が党首として再選された。

 かといって、近く行われる自民党の党首選においても自民党が過去やってきた外交政策が残した足跡の因果であることも事実。


 どの国においても、政権維持や拡大のためにやらねばならない政治的必須事項がネット社会の進行によって改めて明瞭になったともいえる。
 それらを列記してみると、

①国内の権力闘争をどうやって凌ぐか。闇の手も絡めどう熾烈さを越えてゆくか───
②分散し勝ちな国民世論・感情をどう統治するか。どう操作するか。
③他国間に存在するパワーバランスの変化をどう読み、どう掴むか。短期・中期の政治戦略・戦術に、また長期国家戦略にどうつないでゆくか。
④国際社会における自国のポジショニングの取り方をどう取るか、どう打ちだしてゆくか。成熟国家と途上国国家、なかでも覇権拡大を狙う国家。まあまあまともといえる手でやってくる国家、とても容認できない手でやってくる国家など───
⑤まあまあといえる先進国国家でも、国際均衡からすれば容認できない背後事情をもっている場合が多い。そんなあくどい国際環境・民族紛争のなかで、思想的にも人類共存的にも、人間存在のありようを忘れまいとする匂いをもった国はどこか。「その方がまだまし」という判断基準で国民は選択する。


 日本国内における野田政権の抱える難問は、

〈党内の結束もままならない統治力〉
〈重要法案が通せない国会運営〉
〈国力回復の経済・金融・雇用……の政策の弱さ〉
〈原発とエネルギー方針の迷走〉
〈富裕と貧困の格差、世代間格差対策の脆さ〉
〈安全保障問題の舵取りの拙さ〉
〈民意のの読みと、落としどころの不安定さ〉
〈外交人脈の薄さ。自民党も同じ〉
〈官僚との関係性の未熟さ〉
〈責任取り方不明瞭〉
〈国民を欺く政策と運営……原発関連・消費税の使途・人権擁護法案などなど〉

 特に国民統治力のなさ、意志決定への障害として、政府に不利な情報の抹殺を企む〈人権擁護法案〉は悪質としかいいようがない。

 こんな状態なのに《野田総理が他よりまし》とする動きが国際社会における日本のパワー低下の最大の要因のようだ。それに替わる人物が日本の政界にいないことも。



 そんな中、アメリカのパネッタ国防長官が北京を訪問し、次期中国国家主席の習近平国家副主席と尖閣問題で会談。アメリカは国防長官、中国は影の噂も取りざたされていたポスト胡錦濤派の習近平。私は、反米姿勢の習近平と会ったパネッタ国防長官。絶妙のタイミングに仕掛けたアメリカ外交を見た。
 尖閣諸島は日米安保の対象内といいながら、国境問題は相互2国間でという姿勢を取り、その後の習近平の日本批判も容認? かと。
 ところがアメリカ議会では、今回の中国の暴動は容認できるものではないと、日米同盟を推す声が高まり、その後習近平の発言はトーンダウンした。当然そこは、アメリカとしての東アジア戦略の国益をみての発言である。

 このように激動する世界情勢のなかで政治のリアリティとはなにか。時代が変われば白も黒になり、情勢が複雑化すればそれに相応した状況認識と相手の外交レトリックを凌ぐ外交術なしに自国の存立はないと思い知らされた。
 恐らく今日も相互間の発言が影響しあい、さらに変化してゆくものと思われる。





 

by kuritaro5431 | 2012-09-22 12:58


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